研究課題
基盤研究(C)
大きな地震動を受けた建築物の損傷を調べるには時刻歴応答解析法が信頼度の高い方法である。この解析法で耐震設計するには地震動のレベルを設定する必要があるが、地震動は震源特性や地盤特性などにより種々の要素を含むために建築物の損傷と地震動強さの指標が対応せず、これまでは建物の特性により地震動強さの指標を変えざるを得なかった。地震動をパルス列と見なすとき、パルスの時間積分である力積の最大値と最大加速度に固有周期を掛けた値の1/4との小さな値で定義する修正最大力積値が建築物の損傷との相関が高いことを検証した。固有周期は0.1〜1.0(s)の範囲で、地震動は国内外で大きな加速度を記録した73個の強震記録を用い、建物モデルは1自由度系バイリニア型復元力特性を持つ場合と3質点系、5質点系、7質点系の多自由度系バイリニア型復元力特性を持つ場合について、解析を行った結果、解析した固有周期の範囲で、他の指標より相関が高いことが明らかとなった。全地震動を用いた場合と震源を同じくする地震動を用いた場合とについて、震源によって相関が高い場合と相関のばらつきが大きい場合が見られるものの、大局的には修正最大力積値は他の指標より相関が高く、固有周期に対するばらつきも小さいことが分かった。次に、修正最大力積値が損傷との相関が高い理由を知るために、最大力積値のパルスおよび最大加速度を含むパルスだけが作用したときの最大応答と全地震動が作用したときの最大応答を比較して、十分ではないが、これらのパルスで大きな応答を示すことを明らかにした。修正最大力積値は特別の計算で求める必要があるので、実用性を高めるには、通常使われる指標との変換が必要である。そのために、固有周期の小さな範囲では地動加速度との変換式を求め、固有周期の大きな範囲では地動変位との変換式を求めた。これらは相関係数が高いので実用的には十分有効である。
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