研究課題/領域番号 |
15560503
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
曽田 五月也 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70134351)
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研究分担者 |
柿本 和茂 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 助手 (20350431)
岩田 範生 近畿大学, 理工学部, 講師 (20298152)
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キーワード | MRダンパー / 鉄骨造建物モデル / セミアクティブ振動制御 / 振動台実験 / オイルダンパー / 摩擦ダンパー / 粘弾性ダンパー / 減衰性能評価 |
研究概要 |
申請者らは既に20kN〜400kN級のダンパーの製作、性能検証を済ませているが、今年度は小型鉄骨造モデルの制御を対象とする超小型ダンパーを製作し、その性能を検証した。ダンパーの基本構造は一般的なオイルダンパーと極めて似ているため、当初は市販の小型のオイルダンパーをベースにしてシリンダー内ピストン部に電磁石を設置する方法を検討したが、市販品のオイルダンパーの多くは、摺動部の摩擦抵抗が過大であると判断して、建物モデルの特性に合う最大荷量20-30Nのダンパーを新たに設計製作した。正弦波繰り返し加力により基本特性の把握を行い、ビンガムモデルとして力学特性を模擬できる事を、ランダム加力実験等により確認した。 続いて、5層の鋼製小型フレームを製作し、フレームのみ、およびフレームに小型のパッシブダンパーとして線形オイルダンパー(速度依存型)、粘弾性ダンパー(振動数依存型)、摩擦ダンパー(変位依存型)を設置した場合それぞれに対して減衰性能評価を行い、推定精度の向上を多面的に検討した。モデルの最上階にリニアモーターを設置してそれを起振器とする定常加振、および、振動台によるホワイトノイズ加振、地震動加振を行った結果に基づく分析により、各種ダンパーと加振方法の組み合わせに対して高精度な同定が可能であることを明らかにした。実験では、センサーの使い分け、データ前処理・後処理等につき事前検討を十分に行った。 さらに、MRダンパーを1層のみに設置して、種々のアルゴリズムに基づくセミアクティブ制御による制振効果の検証を行った。周期の短い構造の振動制御においては、MRダンパーの電流印可に対する反応の遅れが制御効果を低減させる可能性もある事が分かった。さらに、本手法の一般化に向けては、簡易なコントローラーによる制御手法を構築し、高性能の電源装置を利用した場合との比較検証も重要であり、次年度の課題とする。
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