研究課題
基盤研究(C)
本研究は、缶詰などの食品加工業から排出され、産業廃棄物として焼却あるいは埋立て処分されている果実の核(種)の、建材としての有効利用を目的としたものであり、その開発・実用化に向けた基礎研究である。まず、電気炉を用いて桃および梅の果実核を炭化し、その温度条件が炭化物の性質に及ぼす影響について検討した。測定した項目は、元素組成、pH、真密度、細孔径分布、密度および吸水率、吸着性能、質量減少率、粒径分布、圧壊強度ならびに組織観察である。また、室内空気環境の改善を目的とし、果実核の炭化物を用いた吸着性能を引き出せる形状のセメント系成形板(骨材現し型コンクリートおよびノーファインコンクリート)を試作し、その曲げ強度および主要な室内空気汚染気体であるホルムアルデヒドの低減性能を確かめた。得られた知見は下記の通りである。1.真密度、質量減少率および絶乾密度と炭化度に相関関係が認められることから、これらの値が間接的に炭化度を推定する指標となり得ることがわかった。2.適切に炭化温度を設定することにより、細孔径および細孔量を制御することができる。3.トルエンおよびキシレンの吸着性能は微細孔量と相関関係にあり、アンモニアの吸着性能は懸濁液のpHにも依存することがわかった。4.圧壊強度は炭化度と反比例に似た関係にあり、炭化の進行に伴って分子構造や細孔組織に変化が起こることにより脆弱になる。5.果実核の用途として、骨材用途には堅硬な果実核を用い、炭化物には強度を期待せず、吸着機能に特化するなど、状態によって適切な用途を選択する必要がある。6.炭化果実核を用いた成形板で、特に骨材の表面を露出させたものは、人工軽量骨材を使用した成形板と比較して、曲げ強度は劣るものの、ホルムアルデヒドの濃度低減に有効である。
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Summaries of Technical Papers of Annual Meeting Architectural Institute of Japan, Vol.A
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