本研究の目的は2つあり、最初は2階建木造住宅の振動特性(個有振動数・変位振幅比・減衰定数など)を水平起振実験から求め、壁配置から算定される耐震診断の水平抵抗力指標(D×E)や偏心指標(B×C)と比較することである。また2つ目は、木造住宅の耐震補強効果を振動特性値の変化量から評価する方法を探ることである。 今年度は、研究代表者が産学協同研究を実施している愛知県西三河周辺にある住宅会社が耐震補強工事を請け負った木造住宅の中から、在来軸組構法の2階建木造住宅を51棟選定し、住宅会社と協力しながら耐震補強前後で水平起振機を用いて加振実験を実施した。 耐震補強前の実験結果と住宅の耐震診断時果と対応させて、以下の知見が得られた。 1.2階建住宅の固有振動数は、1階各方向の水平抵抗力指標(D×E)と概ね正の比例関係が見られる 2.住宅を建設年代別に分けて固有振動数を比較すると、同じD×Eでも建設年代が古いほど固有振動数が低い 3.住宅を真壁と大壁に分けて固有振動数を比較すると、同じD×Eでも真壁の住宅は固有振動数が低い 4.住宅を外壁仕上げに分類して固有振動数を比較すると、同じD×Eでもモルタルやサイディング等の外壁の住宅は固有振動数が高い 5.1階の壁が偏在して生じる偏心距離は、共振振動数で加振した時の変位振幅値のばらつきに関係し、両側の変位振幅値の比と偏心距離は概ね正の比例関係が見られる 住宅の耐震補強方法と補強前後の実験結果と対応させて、以下の知見が得られた。 1.1階の壁を新設または改築した場合には、その方向の固有振動数が高くなる 2.主に1階の独立柱の端部をプレートにより梁と固定させても、その方向の固有振動数が高くなる 3.主に1階の独立柱の端部を摩擦ダンパー付プレートにより梁と固定させると、その方向の減衰定数が増加する
|