研究概要 |
建築材料や殺虫剤・化粧品等の使用による生活行為の中で放散されるホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)等の室内化学汚染物質を除去し,清浄な室内空気質(IAQ)を維持するための新しい制御方法として,材料の物理的な吸着・脱着効果を利用した室内空気清浄システムの開発とその基本的な化学物質除去性能を明らかにすることを目的として,H15年度の研究計画に従い以下の成果を得た。 (1)各種吸着材の吸脱着速度の同定試験 本研究で提案する空気清浄装置の吸着材として,ハニカム状の活性炭,セラミック系多孔質材料,ゼオライトの吸脱着特性を,スモールチャンバーを用いたステップアップおよびステップダウン応答の濃度変動に基づく同定法により調べた。その結果,ハニカム状活性炭は吸着性能に,セラミック系多孔質材料は吸着および脱着性能共に優れた特性を示した。 (2)吸脱着型空気清浄装置の試作 材料の吸脱着ユニットを2セット内蔵した空気清浄装置のプロトタイプとその制御装置を設計,製作し,オンラインで装置の機械的な稼動性能(空気循環量,圧力損失,制御性等)を確認した。次に基本運転モード(吸着および脱着モードの時間スケジュール,供給空気の温湿度と循環量などを設定)に対する各種吸着材(ハニカム状活性炭フイルター,繊維状活性炭フィルターなど)の汚染質除去特性(温度・湿度依存性,対象とする化学物質に対する吸着特性など)を調べるための予備実験を行った。 (3)空気清浄装置のVOC除去性能評価法の検討 試作した2ユニットタイプ吸脱着型空気清浄装置のVOC除去性能の評価法を確立するために,既存の空気清浄装置の性能評価法も含めた最適なVOC除去性能評価法の検討を行う。そのために,システムシミュレーションならびに基礎実験を行った。
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