北海道北見市1軒、福島県会津若松市3軒で高断熱住宅の夏期室内温熱環境とエアコンの電力量を調査した。高断熱住宅では冷房温度が意外と低く平均約27℃であったが、電力使用量は暖房電力消費量の5分1程度で少なく済んでいた。これを来年度一般住宅と比較することによって確認したい。コンピューターシミュレーションによって冷房負荷を求め実測による電力消費量と比較したところ、エアコンの成績係数は2以下とメーカーのカタログ表示と大きな差があった。この原因を調べるために、実測の終了した10月に実験室において市販家庭用エアコンの出力と成績係数との関係を実測した。その結果、最高出力の1/3以下になるとインバーター制御が利かずにオンオフ制御になり、この範囲では成績係数は極端に低下することが分かった。来年度は盛夏時再度実験を行い、エアコンの効率のよい容量選択法や運転法を見いだす計画である。 高断熱住宅の冷房用電力消費量は比較的少ないことが確認できたが、一般には断熱は冷房負荷を増加させるとして認識されている。冷房負荷が予想より少ない理由に結露防止用に工夫された通気層の排熱・遮熱効果が考えられる。通気層付き外壁モデルを作り、外界条件と通気量の関係を調べた。通気量は外部風速に大きく影響させるが、静穏時には日射量と強い相関があることが分かった。通気層の排熱効果を組み込んだ熱負荷解析用シミュレーションプログラムを作成し、来年度は解析を予定している。
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