関西(京都、神戸)と東北(会津若松)および北海道(北見)において住宅のエアコン使用状況と室内環境を断熱性能との関わりで調査した。会津若松と北見では外気温が25℃を越えると朝からエアコンを使用し、室温は26〜27℃に設定されていた。一方、京都と神戸ではエアコンの日中の利用は少なく、夕方から就寝前後の時間だけ使用され、設定室温も28〜30℃であった。窓を開放して通風による防暑法が多用されているため断熱性能による差は小さかったが、断熱性の高い住宅は一日の最高と最低の温度差が小さく熱がこもるという感想につながっていた。アンケート調査結果からは暑さに対する慣れやエアコン使用に対する健康上の危惧、上下温度差等の不快感等が利用を控えている理由であることがわかった。したがって関東以北では連続的なエアコン使用による低負荷冷房の普及の可能性は高いが、関東以西では非常に困難な見通しを得た。 会津若松の実測からエアコンを連続的に利用した場合、過大容量となりインバータ制御の範囲を超え頻繁にオン/オフを繰り返すことがわかった。エアコンの簡易実験によってオン/オフ運転時の効率の著しい低下を確認した。しかし北見や京都ではエアコン1台で全室冷房しているためオンオフ運転は起きなかった。高断熱住宅では2階ホールなどに設置し連続的に室温を保つことが効率的にも望ましいことがわかった。 通気層のある外壁の非定常伝熱計算プログラムを「室温及び負荷変動解析プログラム」に組み込み、高断熱住宅の期間冷房負荷を検討した。省エネ基準を上回る断熱性能にすると期間冷房負荷は減少し、温暖地でも断熱の効果は高いことを明らかにした。また床に冷温水を流して放射冷房する場合の解析プログラムも完成することができた。
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