本研究では、戸建住宅における居住状態での化学物質屋内濃度の履歴を把握するために、新たに開発した窓開巾記録器による窓開放習慣の把握と共に、窓の開閉に関係する温湿度、換気測定、室内空気質の測定を行って年間性状の実態を把握し、その結果を用いて、居住空間及び構造内部空間の温湿度、発生源中の含有量減少による発生能力の減少、建材の吸着脱離の影響、換気経路を考慮した長期の温熱・換気回路・濃度非定常シミュレーションを行って、換気方式や窓開放習慣が居住者吸気濃度の履歴に与える影響を明らかにすることを目的としている。 15年度は、第1次測定と要因分析を行った。窓の開閉及び開巾を連続測定して記録する窓開巾記録器を用いて、気密化住宅及び一般住宅合わせて6軒の住宅に設置して温湿度などに関する測定を実施し、測定法の検証と窓開閉行為に起因する条件項目の洗い出しを行った。 代表者(林基哉)は、窓開巾記録器の仕様を検討し、平成15年8月までに完成さ、南東北の住宅での第1次調査を平成15年8月〜12月に実施した。分担者(本間義規)は、北東北の住宅での第1次調査を平成15年8月〜12月に実施した。そして測定結果を分析して、室内空気汚染状況の把握と窓開閉行為の要因分析を行った。 窓の開閉操作に関する分析方法として、窓の開巾を用いた窓解放率を定義して、その年間推移、一日における時間帯との関係、外気温度との関係を用いると共に、1週間の開巾推移から開閉状況の分類とモデル化をし、開閉形式を想定し、その開閉形式の年間移行状況を、室内環境調整行動及び周囲環境、生活習慣に関するアンケート調査結果、建物の図面及び設備に関する調査結果とあわせて見ることで、窓及び部屋毎の多様性と季節変化と家族構成や周囲環境等との関連性を確認した。なお、空気汚染状況については、炭酸ガスに関して窓の開閉との関係が確認された。
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