既往の研究で捕集材2枚を、間隔を空け空気溜りを作ることで浮遊真菌の捕集が可能であることが分かっている。本研究では空気溜りを利用したものと、さらに捕集真菌数を多くするために電荷を利用した簡易真菌サンプラーを作成し、捕集材にはポリエチレンテレフタレート板、培地はRodac Plateに作成したDG-18培地を用いて実験を行った。電荷利用型は捕集材の背面から電源の片側の極から電荷を与えることで電荷を偏らせ、静電誘導により浮遊真菌の捕集を行う方式である。実空間を用いた実験から、どちらの方式も簡易真菌サンプラーの捕集数と浮遊真菌濃度との間に高い相関が得られ、浮遊真菌の簡易測定法として有用であることが分かった。標準的な測定法を示すために実験を行った結果、空気溜り型簡易真菌サンプラーでは捕集材の幅は1cm、設置期間は10日間で最も高い捕集数が得られた。また、風速により捕集効率の変動が見られたので設置を行う場合は風速の安定した場所に設置することが好ましいことが分かった。電荷利用型簡易真菌サンプラーは捕集材に与える電荷は負極にすることで高い捕集数が得られることが分かった。設置する床面からの高さにより設置期間中の浮遊真菌濃度の平均値に影響があるか実験を行ったが、差は見られなかったことから設置高さについては自由に設定できることが分かった。ヨーロッパで作成された浮遊真歯のガイドライン値を簡易真菌サンプラーの捕集散と浮遊真菌濃度との回帰式に代入し、簡易真歯サンプラーによる真菌捕集数のガイドライン化を行った。
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