上記申請課題について、釧路市の西部地区の温室付設(サンルーム付き)住戸対象とした実測調査、実態調査(アンケート調査)を行った。実測調査は、既存のサンルーム付き住戸2戸、一般住戸(サンルーム非設置)1戸に依頼をし、サンルーム、居室の温湿度測定等を約1年間に渡り行った。この測定結果より、夏の濃霧と冬の多日射などの気候を持つ当地域におけるサンルームの熱的効果を季節別に検討し、居間等の生活空間に与える大型サンルームの熱的な好影響等が見られた。これらの成果は現在、日本建築学会論文報告集に投稿中である。また、並行して実験用に平屋建ての住戸に付設したサンルーム(ビニルハウス)についても、サンルーム内、居室内の温湿度実測を継続しており、その温湿度性状や燃料消費への影響等を現在検討している。検討結果は次年度建築学会大会で報告を予定している。この中で、この実験用サンルームには地盤の蓄熱効果なども検討の対象とするために、あえて床を設置していないことから、サンルーム内が相当高湿度となったため、乾燥・除湿材による調湿効果の実験を次年度は予定している。サンルーム付き住戸に対するアンケート調査は、特に熱環境的な効果や弊害を把握、分析し、当地域での有用性について検討するものである。対象地域に約100戸(この地域の戸建の住宅の5%)サンルーム付き住宅が見られ、このうち、約半数の回答が得られた。現在詳細に分析中であるが、夏冬ともにサンルームの設置による熱的満足感が比較的高いこと、一般に問題となる夏の過熱現象がさほど弊害とは実感されていないことなどが窺え、当地域の気候下におけるサンルームの有効性が見えてきた。この調査結果についても論文投稿を予定している。次年度はサンルームの調温・調湿空間としての可能性をさらに探求する。
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