近年、急速に施設整備が進められている保健(保健センター)・医療(病院)・福祉(特別養護老人ホームまたは老人保健施設)の市町村を単位とする地域的整備パターンをGISによる施設間距離を基準に類型化した。 即ち、施設間距離500m以内を集約的整備と定義し、保健・医療・福祉の3分野集約型、保健-医療、医療-福祉、福祉-保健の2分野集約型、分散型、未整備型等に類型化し、当該市町村の人口規模、面積規模などとの関係で、集約的整備の出現特性を分析した。 その結果、集約的整備は、人口1万人未満自治体の農山村地域で、しかも地域的面積が150km^2以上の広域地域で出現率が高く、保健・医療・福祉施設を近年、新たに整備した小規模・広地域の自治体における典型的な整備パターンとなっていることを見い出した。 併行して、集約的整備をとる北海道標津町、静内町、広尾町、山形県西川町、宮城県南郷町の5事例を訪問ヒアリング調査し、集約的整備の特質について考察している。 これまで別々の体系で秩序づけられてきた保健・医療・福祉が密接な連携を図って、高齢者に一貫した包括的なサービスを提供していくのに、集約的整備は極めて効果のある整備手法であることがいずれの自治体においても、確認されている。 なお、研究をはじめる問題意識であった、広大な面積に人々が離散して居住する地域に、ただでさえ数少ない施設を1カ所に集約して整備することの課題(デメリット)については、今のところ明らかになっていない。
|