魅力的な都市には人々の生き生きとした活動がある。物的空間だけで魅力ある都市景観を形成することは困難であり、活気あるアクティビティが存在して初めて都市は輝きを増し、都市の活性化にも資する成果を生むことができる。街路、広場などの公共空問は、都市におけるアクティビティの主要舞台である。従って、都市景観形成に当たっては、公共空間の物的改善に加えて、その利活用を適切にコントロールする手法の確立が必要不可欠である。 本年度は、上記のような問題意識に基づき、次の手順で公共空間利活用の実態及び制度の調査・分析を行った。 1.12政令指定都市と東京都を対象に、露店・屋台等に対する道路占用許可の許可慣例とオープンカフェの道路占用許可申請への対応を中心とする調査を行い、公共空間利用に関する取り組みの現状と課題を整理した。 2.クリチバ(ブラジル)の中心市街地の歩行者空間を対象に、公共空間におけるオープンカフェと屋台利用に関する規則及びガイドラインを収集し、クリチバ市の都市計画担当部局にヒアリングを行い、運用実態に関する現地調査を行った。その後、ポルトガル語の条例規則及びガイドラインを翻訳し、内容分析を行い、その成果を論文としてとりまとめ中である。 3.ロンドン(英国)のケンジントンチェルシー区とウェストミンスター区を対象に、公共空間におけるオープンカフェと屋台利用に関する規則及びガイドラインを収集し、さらにポートベローのストリートマーケットの事例について公共空間利用の制度・システムと活性化の実態を調査した。
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