本研究は建築とランドスケープの関係に着目し、建築とランドスケープの関係を意識して設計された建物で人間が実際に感じるであろう空間を実際の空間で調査・実験を行い、建築とランドスケープの空間構成を空間意識とその具体的な作られ方の関係とを構造的に明らかにしようとするものである。 調査対象を選定するにあたっては、現存する現代建築で「ランドスケープにおける建築空間のあり方」を示すと思われるあらゆるタイプを網羅していることが重要であるため、地形と建築との関わりが強いと考えられる建築を新建築などの資料を基に多数挙げ、「クラスター分析(最長距灘法)」を用いて、それぞれの特徴を類型化して捉え、「ランドスケープにおける建築空間のあり方」の特徴を捉え、それらのタイプの中で、代表的な建築を14地区、調査対象地区として選出した。 調査対象地区の現地調査で心理実験を行うために「ランドスケープにおける建築空間のあり方」を表現する形容詞句の検討や、過去の一連の空間研究により得られた成果を踏まえ、7段階評定による心理評定尺度を用いた「SD法心理実験」実験用紙を作成した。それらを用いて調査対象地を訪れ心理実験を行った。また、同時に特に印象に残った「ランドスケープにおける建築空間のあり方」を示す形態や部分、装置類などを自由にあげてもらうエレメントを指摘してもらう「指摘法実験」を行った。その後、実験結果を集計し以下の分析を行った。「SD法心理実験」より得られた結果から、全地区の心理的特性を定量的に把握し、<心理量>を基に「因子分析法(直接バリマックス法)」を用いて、「ランドスケープにおける建築空間のあり方」の評価構造上、特に重要と考えられる心理因子軸を抽出した。また、「指摘法実験」の結果を集計し、意識上で印象に残るエレメントの傾向の比較を行った。
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