研究課題/領域番号 |
15560527
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大方 潤一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60152055)
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研究分担者 |
真鍋 陸太郎 東京大学, 大学院・工学系研究所, 助手 (30302780)
小泉 秀樹 東京大学, 大学院・工学系研究所, 助教授 (30256664)
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キーワード | まちづくり条例 / 開発協議 / 開発コントロール / 開発影響評価型 |
研究概要 |
本研究では、「まちづくり条例等(景観条例を含む)」のうち、特に事前確定的基準を具体的詳細には定めず、個々の開発の提案を受けた段階で多面的な要素について支障がなく許容しうる開発であることを判定する方式(以下、環境影響評価型という)の開発協議過程に着目し、こうした開発コントロール方式の運用上の課題を分析した結果、以下の知見を得ることができた。 1.事前に抽象的な基準を定め、個別の開発が生じた段階でこれを具体的な基準として展開する場合にも、事前に特段の基準を定めず、個別の開発が生じた段階でその都度開発に適用する基準を生成する場合にも、行政と事業者の2者による協議では、協議の結果として得られる開発コントロールの内容が、画一化・硬直化し、そもそも環境影響評価型の開発コントロール方式に求められる個別的・創造的な開発コントロールの実現が困難であること。 2.事前に開発協議の基準を定めず、近隣住民等の個人と事業者の協議を通じて開発に関する合意を得ようとする場合、利害関係が直接的であることから協議が敵対的なものとなりやすく、協議が不調に陥ったり、協議内容が開発の適否に終始し、建設的な協議に至らないケースが多々生じること。 3.これに対して、地元まちづくり団体等の個人の利害を集約する主体と事業者との協議では、比較的協議が協調的なものとして行われやすく、結果として双方の交渉、譲歩、開発コントロールに関する創造的解決法の発見作業を通じて地元合意に至るケースが多いこと。 4.だたし、こうした地元まちづくり団体等と事業者等の民・民の協議においては、協議の透明性を確保し、協議が不調となった場合の判定方法を予め定めておくことが重要であり、その為には協議過程における専門家の関与や、審議会の役割等を再検討する必要があること。 5.また、地元まちづくり団体が地域の意向を集約し、これを開発に反映させるためには、開発が生じた時点でその都度事業者との協議を通じて個別的な解を生成するだけではなく、地区まちづくり計画の策定や地区のまちづくり方針の策定等、予め何らかの事前確定的な基準を定め、地区における開発の方向性や地域像を明示する必要があること。
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