研究概要 |
1.防災関連GISデータベース整備:運用実験対象地区である二川・大岩地区のデータ整備はほぼ完了している。これらの防災関連事実データの他に,防災対策メニューのデータベース化を試みた。今後これらの知識ベース化を図る予定である。 2.小空間単位の災害危険度測定手法の検討:国の手法を踏襲しながらも独自の視点で歴史的市街地における防災まちづくり支援GIS開発に向けた街区単位の測定手法を開発し,対象地区に加え防災対策が進んでいる岐阜県高山市中心市街地にも適用させた。評価ツールとして有効性は確認できたが,これが実際の防災まちづくりの協議の場面で有効に機能するかどうかは未知数で,国の地区レベルの危険度判定の考え方から協議の場面で役立つ危険度指標とその表現方法を考えることが課題として残っている。 3.延焼シミュレーション予備CAモデルの開発:1)延焼速度式等の過去の研究成果を踏まえ,セルサイズを3m,セル状態を[0]燃えないセル,[1]燃えていないセル,[2]着火セル,[3]燃焼中セル,[4]自然鎮火セル,[5]消化セルの5つの状態を定義した。2)セルの延焼判定では,風速と風向によって変化する近傍を定義し,不確実性の高い延焼現象のモデル化のため,ある燃焼中セルの近傍における延焼判定では確率的計算プロセスを導入した。3)さらに消防隊による消化活動を組み込んだモデルを構築した。 4)キャリブレーションは運用実験対象地区の一部で行い,同一条件による200回のシミュレーション実行結果を検討し,ほぼ50回程度の実行結果を用いれば,延焼範囲の確率的表現によりほぼ安定した結果が得られることを確認した。5)この結果と過去の複数の延焼記録を比較することで,延焼判定に組み込んだパラメータを調整することで条件の異なる延焼記録をモデルでほぼ再現可能であることを確認した。6)また消防力サブモデルの有効性も確認した。
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