研究概要 |
最終年度は,システムの運用実験結果をとりまとめ,ロンドン大学高度空間情報分析センター主催の国際会議(第9回CUPUM2005)で発表し,Best Paper賞を受賞した。今年度の研究実績は以下のとおりである。 1)システム運用実験結果の分析考察:二川・大岩地区を対象とした防災まちづくりワークショップ(WS)での運用実験結果から得られたデータ(参加者のシステム評価アンケート,ワークショップビデオ記録,サーバ上の延焼シミュレーション記録等)を基に分析し,開発したシステムの合意形成支援ツールとして有用性と課題を検討した。その結果,インターフェイスの課題は残るものの,基本的には延焼シミュレーションを活用して市街地整備効果を確認し,具体的な整備案をグループ内でまとめていく,合意形成支援ツールとしての有用性を確認できた。 2)GUIによる効果的情報提供方法の検討:1)の運用実験結果から出てきたインターフェイス上の課題を基にシステム改良を行った。市街地整備対策として道路拡幅,建物の耐震化,公園整備等のメニューを用意した改良されたシステムを,豊橋市内でも災害危険性が最も高く緊急に整備を要する地区(飽海地区)の防災まちづくりWSの場で運用し,システム有用性を検証する追加データの収集を行った。 3)システム有用性の検討と総括:飽海地区での運用実験結果の追加データも加えた分析考察から,防災まちづくりWSで活用できる有効な合意形成支援ツールであることを確認できたと考えている。なお研究を進めていく段階で,利用者が本システムをWebブラウザー上で使用可能とすることで,より有益な住民参加型防災まちづくり支援システムへ展開可能であることを新たな知見として得た。今後は本システムを活用した防災まちづくりワークショップ手法を提言するための研究へ展開する予定である。
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