都道府県の景観条例は、(1)行政区域を対象としたハード・ソフト施策を展開する都府県と、その都府県内の市町村を対象としてハード施策を持つ市町村との間で施策の調整が必要となる調整型、(2)対象地域を特定の地域に限定したハード施策とソフト施策を展開する県と、その県内の市町村を対象として現在においては対象地域の重複は見られず県と市町村がそれぞれ独自にハード施策を展開している並立型、(3)行政区域を対象としたソフト施策を展開する道県と、その道県内の市町村を対象とするが道県条例にハード施策による規制がないため、市町村が道県から自立して独自のハード施策を展開する自立型の3タイプに大別出来る。 調整型の特徴は、ハード・ソフト両面に渡って総合的に景観施策を展開していることであり、特に広域景観形成地域の指定や大規模建築物等の届け出制度は、広域行政団体としての特徴を活かした施策であり、都道府県ならではの役割や景観条例を有さない市町村に対する先導的な役割を果たすと共に、景観条例を制定した市町村への権限委譲も行われ市町村施策と調整されてきている。並立型の特徴は、主要道路沿道の自然景観を対象に広域景観形成地域を指定していることであるが、市町村条例が制定されても権限委譲はされずに県条例と重複して運用されており、市町村施策と並立した形になっている。自立型の特徴は、ハード施策を有さずにソフト施策のみであることであり、主に市町村施策を支援することに主眼が置かれている。 全体的に都道府県の役割としては、広域的視点を持つ行政団体として広域景観形成地域などのような広域施策を展開すること、そして市町村施策を支援することといえ、総合的に展開する調整型が最も景観施策に対して積極的に取り組んできていると評価出来る。
|