本研究の成果は、都市の数理的解析において、線的施設の長さの推定式である√Nの法則に関して理論的な展開を行ったことと、実用的な面において、長さの推定式の精度を高めたことである。さらにこの結果を応用して、英国の中世都市の構造、特に道路パターンに関する再現方法を提案して、再現率を高める方法論を考察し、スペース・シンタックスやポテンシャル分析法との関連を明らかにしたことである。 具体的には、1辺1の正方形内に1000個〜2000個程度の点がランダムに配置されているとき、これらをつなぐ最短のネットワーク(最短木)の長さの推定は、(0.66±0.004)√Nの範囲で推定できること、最短木の辺は、第一近隣辺が69%、第二近隣辺は約22%であり、ほぼ91%の辺が第一、第二近隣辺で構成されることが判った。この結果、全体の最短性は部分の最短性によって90%以上が保証され、近隣木と長さと最短木の長さの差は、平均すると1000分の8以内と考えられる。こうした結果を現実の道路網と比較して、現実の道路網を単純な原理から再現する方法を提案した。 また、ランダムグラフ理論との比較により、この結果を導く方法のユニークさを明示した。 これらの結果を都市計画学会に発表し、平成15年度日本都市計画学会論文賞を受賞した。
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