研究概要 |
本年度に行った研究は以下の通りである。 1.神戸・阪神間の山麓密集住宅市街地の類型的把握: 神戸市を中心とする阪神間の山麓密集住宅市街地を対象に,その地形的制約条件とともに歴史的形成過程をふまえた地域の空間的・社会的まとまりに着目して,山麓密集住宅市街地の類型化を行い,類型毎に詳細な調査・分析を行う地域を抽出し,「山麓住環境単位」として設定した. 2.「山麓住環境単位」の住環境性能に関する調査・分析: 「山麓住環境単位」の住環境性能について,住宅の密集度や接道不良宅地率などの地域の安全性に関わる指標,眺望や景観,緑被率,空地率など快適性に関わる指標,傾斜地に立地することに制約を受けるアクセシビリティやバリアフリーなどの利便性に関わる指標,コミュニティの形成など地域の持続性に関する指標を取り上げ,それらを物的特徴の分析とともに居住者への意識調査を通じて,その特質と課題を把握することにより「山麓住環境単位」の設定の有効性を検証した. 3.連携型住環境整備手法に関する調査・分析: 接道義務の特例の許可化(建築基準法43条ただし書),建ぺい率制限の合理化(同53条),連担建築物設計制度(同86条),さらには神戸市における「近隣住環境計画制度」など,新たな住環境整備手法の適応事例について,その物的な効果の把握や居住者による評価などの調査・分析を,特に個別建替,共同・協調建替など多様な更新の連携という視点で行い,16年度に行う住環境整備手法の開発のための予備的検討とした.
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