研究課題
基盤研究(C)
本研究は、明治から昭和24年の建設業法制定に至るまでを期間とし、建設業の地位の確立過程を、その資格や行政措置と関係付けて、会計法、警察による請負業の取締り、戦時下における企業統制、終戦儀の民主化社会の中で明らかにするものである。建設業に関する行政措置は、大きく3つの施策とこれに連動する時期に分けることが出来た。第一は、昭和初期までが該当し、明治期の鉄道請負工事の業者資格規定が、その嚆矢であった。また、戦前の、国内行政は、その殆どの取締りは内務省の管轄にあり、地方にあっては警察署がこれを担当してきた。建設業者に対しても警察行政が対応し、各地方庁が規則を制定し、建設業界を取締まってきた。第二は、昭和10年代以降の戦時体制の中での建設業の取締りであり、特殊産業と見做されたために、業界独自の法令は制定されずにいたが、戦時生産を支える産業の性格上、大正末に制定された工業組合法が準用され、業界の体制つくりがなされ、それまでの取締りから業界の統制に政策がシフトされた。また、昭和18年頃には、商工省を中心とした企業統制が建設業界にも波及し企業統合が深化した。また、この時期に、建設業に対する資格や職別のあり方が集中的に議論された。今回は、その中でも建設業取締りを担当した伊藤憲太郎技師の所蔵の資料が、当時の行政側の考え方を知るために貴重なものであった。第三は、戦後の復興と民主化の中で取り組まれた建設業の行政措置であり、内務省の業務を受け継いだ戦災復興院のみならず、戦後経済復興を重点事業とした経済安定本部や占領軍工事の調達に関与していた特別調達庁でも、建設業に関する規制と取締りが行われていた。また、民間団体においては、自主的に建設業法案の検討がなされていた。本研究の知見としては、建設業の取締りの歴史的展開が明らかになった他に、行政側の担当官吏においても、既存法を踏まえ建設業に関する統制策を考えていたことが明らかになった。
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日本建築学会九州支部研究報告 第45号・3
ページ: 349-352
ページ: 353-356
Architectural Institute of Japan Transactions, Kyushu Branch Vol.45-3
日本建築学会九州支部研究報告 第44号・3
ページ: 329-332
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Architectural Institute of Japan Transactions, Kyushu Branch Vol.44-3
日本建築学会九州支部研究報告 第43号・3
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Architectural Institute of Japan Transactions, Kyushu Branch Vol.43-3