本年度は、リユースシステムの全体像を構築し、研究のまとめを行った。 前年度までの研究成果を踏まえ、リユース型鋼構造建築の試設計とともに、リユースに相応しい建築空間・機能を創りあげるための企画・設計ツール、分解・移設・再築を実践するための具体的な建設ツール、さらに資源循環の経済性を向上するためのコスト・流通ツールを含めたリユースシステムモデルを提示し、システム全体に対するフィージビリティスタディを試みた。 新築・移築・再築施工性調査による設計・建設面での実現性の検討、海外事例の市場形成調査による流通面での実現性の検討、リユース対象部材のLCC調査による経済面での実現性の検討を踏まえ、以下に挙げる3つのリユースシステムモデルの構成要素について、システム運用のための具体的なツールを提示し、システムの適用可能範囲とその実現可能性を検討した。 (1)企画・設計ツール 対象とする建築空間、対象とする建築機能などの要求条件に応じた、使用期間(複数回のリユースを想定した)や将来の用途変更別の企画・設計の考え方や内容、範囲をツリー化して表現した。 (2)建設ツール 分解・移設・再築の具体的な方法論を、リユース部材量やリユース部位の範囲別に明示し、それぞれに必要な労務量、消費エネルギーなどを加味した、建設インデックスを作成した。 (3)コスト・流通ツール リユース部材の性能的、部位的特徴から、市場規模・流通経路の具体的なあり方を示し、部材リユースの流通に必要な制度(リースシステム、検査・保証体制)をモデル化した。
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