研究テーマのとも全国的なアンケート調査を行った。調査対象として全国NPO団体から821件を抽出。調査期間は平成16年8月30日〜9月15日。有効回収数は213件(25.9%)。質問内容は、基本属性、活動内容、死と地域・コミュニティの繋がりの必要性への有無と理由、死がコミュニティ形成の動機づけに成るか否か、活動における死に関する経験及び影響、人はどこで死にたいだろうか、などである。結果として回収率が低かったが、多くが記述式だったこと、またテーマの難しさを考えると極めて貴重な回答が寄せられた。全体として、死を考える際に地域との繋がりは必要が89.7%(必要でない8.9%)、死に関することがコミュニティ形成の動機づけになると思うが64.3%(思わない10.8%)など、死とコミュニティ形成の関係に肯定的であった。人と人、人と地域の多様な繋がりを求める声が多い。場や参加の機会づくりの必要性も指摘されている。また、現代社会が死を地域・コミュニティから隔絶している事への批判と対応の声も多かった。一方、死は個人的な面が強く、コミュニティの中で取り扱うことの限界も指摘される。その中で「家族」「故郷」といった2つの要素が重要要素として浮かんできた。 上記のアンケートをもとにヒヤリング調査も進めている。その中で、活動者自身の動機の違いによる内容・認識の差違、経過の中での意識・認識の変化に特徴が伺われる。制度・技術的な課題、また家族・親族内での多様な状況への対応など、単純に括りまとめることの出来ない状況が認められる。また本テーマのもと、地域のコミュニティの今後を探る為に、地方に残る伝統行事の観察調査も行ったが(沖縄竹富島、山口県祝島、等)、その中にもこれからのコミュニティ形成の鍵(特に死を意識するのでもなく暮らし・文化・教育として)があるようだ。これらの調査を更に進め最終的なまとめに向かいたい。
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