本年度は、下記の要領で主に調査と実験から本研究を遂行した。 1.前年度に得られた児童・生徒の体位の計測データと学校用家具(教室用机いす)との適合実態について、資料の整理と問題点の洗い直しを行った。 2.教育現場における児童・生徒一人当たりの教室内の占有スペースや地域の特性などからみた少子化に伴う学校施設の現状などについて考察した。 3.前項2の結果をもとに、1999年に改訂された新JIS規格の教室用机・いすの導入状況を把握するために、地方自治体(当該教育委員会など)や前年度に選定した拠点校を対象としたアンケート調査を実施して、その導入や更新に向けた取り組みの進捗状況を把握して、問題点などの抽出を試みた。 4.新JIS規格による学校用家具を導入した学校を対象にして、児童・生徒が旧JIS規格から新JIS規格の机・いすに環境移行したことによる使用意識の変化や学習環境としての問題点などを比較検討した。また、児童・生徒の体位の経年変化と新JIS規格の机・イスに着座するのに必要な動作スペースについて人間工学的な動作実験を行い、当該寸法から算定した教室として必要な単位空間との関係などについて検討した。 5.本年度に得られた成果は、前項3で実施した調査において、北海道教育委員会の全面協力のもとに北海道立高等学校の実態をほぼ悉皆調査できた。また、前項4の教室用机・いすに着座するための児童・生徒1人当たりの必要スペースの結果から、教室の規模算定に関する基礎資料が得られた。
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