白井は、「ル・コルビュジエとパルテノン-ウィトルウィウスの向こうへ」と題して、ル・コルビュジエとパルテノンの関係を、そのほぼ最初と最後の著作である『建築をめざして』と『東方への旅』に記載されたパルテノンとアクロポリスを巡る記述を通して分析し、その根本にある「廃墟」の問題にまで論を進め、ウィトルウィウス的原理を超えたギリシャ建築への憧憬に根差したル・コルビュジエの建築思想を明らかにしようとした。目次は、以下のようである。序:ウィトルウィウスとル・コルビュジエ、第一章:『東方への旅』におけるパルテノン、第二章:『建築をめざして』の中のパルテノン、第三章:E.ルナンとアクロポリスと「建築の反逆者」、第四章:廃墟論、結:「廃墟の美学」へ、である。村田は、「『建築をめざして』における感覚的認識と理性的認識による構成に関する考察-ル・コルビュジエにみる近代的世界認識にもとづく古典的建築原理への遡及」と題して、ル・コルビュジエの最初期の著作である『建築をめざして』から「三つの想起」と「規制線図」を分析対象とし、そこでの建築理論について、近代的世界認識にもとづきその内容を詳細に考察した。この建築理論の考察から、相反する2つの側面、感覚的認識と理性的認識に拠った構成の方法が明確にされた。さらに、この構成原理の理解を踏まえて、ル・コルビュジエの最初期の建築理論が近代的世界認識にもとづきつつも、古典的構成原理へと遡及することが明らかにされた。目次は、以下のようである。1.『レスプリ・ヌーヴォー』誌と『建築をめざして』、「三つの想起」と「規制線図」、2.感覚される量としての量感、3.近代的認識による発露:理性的認識と感覚的認識による構成の端緒、4.平面による量感と表面の決定、5.規制線図による感覚的、理性的認識による構成の統合とその検証、6.量感の構成を巡って、古典的建築原理への遡及:普遍的建築原理をめざして
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