研究課題
基盤研究(C)
現地博物館、フランス現代建築資料館、国立公文書館などを活用しつつ、15年度と16年度にシュレンヌ市田園都市の調査と資料収集、18年度にスタン市とプレ=サン=ジェルヴェ市の田園都市の調査と資料収集を行った。その結果、まず、住宅供給の文脈から、国レベルの住宅政策の動向の影響を受けるとともに、逆に、その政策変化を促すものでもあったことが判明した。また建設にあたって、土地獲得の財源は県であり、住棟建設の財源は大部分が国の金融機関からの融資であった。また膨大に所蔵されていた建築図面から、住戸プランのタイポロジーの変化、すなわち19世紀の労働者住宅タイプから次第に20世紀の普遍的なnLDK型に発展したこと、が判明した。とともに、上記3つの田園都市において平行した経過が見られること、衛生設備の普及率なども次第に向上していったことなど、を確認した。さらにセーヌ県低廉住宅公社の理事セリエのもとに、各田園都市に数人の建築家からなる設計者グループが設置されていた。ゆえにシュレンヌでは地方スタイル、プレ=サン=ジェルヴェではオランダ近代スタイルなどと、田園都市ごとに建築スタイルが多様であることの背景を確かめた。さらに社会主義者アンリ・セリエが、県レベルでの市町村ネットワークを確立し、そのなかで福祉政策として公衆衛生、コミュニティ、国民教育、職業教育などを充実させようとしていたこと、そのなかでさまざまな社会階層の住民からなる社会を建設しようとしたことなど、19世紀の理想都市運動とは異なる実際的な面もあったことを確認した。また行政主導であり、民間主導のイギリスや日本とは対照的であった。
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日本建築学会九州支部研究報告・計画系(北九州) 45号
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日本建築学会九州支部研究報告(北九州) 45号
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Bulletin of Architecture and Planning, Kyushu Branch of AIJ 45
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Bulletin of Architecture and Planning, Kyushu Branch of AIJ 44
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Journal of Architecture and Planning 577
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