この研究では、カトマンズ盆地とその周辺の層塔の主体を占めるヒンドゥー教寺院の層塔に対象を限定して、その現存する事例を集成して形態を分析して類型を求め、同時に所在の知られる古写真を併せて既に失われた層塔を補い、歴史的な変遷を明らかにする。 既に従来の現地調査で相当数のヒンドゥー教層塔を撮影しているが、今年度は1978年以来20年余りに亘って少しずつ集めたカトマンズ盆地のヒンドゥー教層塔の写真を、昨年度のパタン、バクタプルの両都市に次いで、カトマンズに所在する層塔について画像データとしてデジタル化した。資料の整理作業内容としては、次のとおりである。 写真のうち35ミリ・フィルムの多くは、原版の遺失を避けて19回に分けて補助者とともに区分けしてフィルム・スキャンを外注し、画像データとしてデジタル化した。さらに、それらをハードディスクにいったん集積し、事例ごとに整理した。35ミリの一部とブローニー・サイズ以上のものは、補助者によって画像ソフトPHOTO SHOPで読み込んでデジタル画像化し、ファイルに加えている。また、実測図面を含む図面を、現在のAUTO CADで引き続き読み込んでいる。 昨年度、カトマンズにおいてビジュシュワリなど30基の層塔を調べ、写真撮影したが、これらもデータに加えた。また、この時に文化教育省の図書館で複写した2冊のアルバムに見える層塔については、どこのものか判定を進めている。 分析は途中であるが、平面型に神格を指標とする系統が認められる。
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