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2003 年度 実績報告書

物語形式の建築書「ポリフィーロの狂騒夢」(1499)に関する建築論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15560565
研究機関福山大学

研究代表者

松本 静夫  福山大学, 工学部, 教授 (70122504)

キーワードイタリア・ルネサンス / フランチェスコ・コロンナ / 神話 / Polifilo / Polia / 愛の夢 / 建築理論 / 図像
研究概要

今年度はこの物語に関する基本的な資料の収集とその簡単な翻訳を行い、物語の概要、著者、その思想的背景等について考察した。
"Hypnerotomachia di Poliphili"は主人公Polifiloが眠りに落ち、夢の中で恋人のPoliaを探し求める物語である。第1書はPolifiloの観点からの物語で、第2書はPoliaの言葉による女性的な観点からの物語である。第1書のクライマックスはCytherea島の中央のVenusの泉でおき、美の女神を目撃したPolifiloがクピドの矢で打ち抜かれ,美の神秘を認識する場面であり、第2書のそれは天上でのできごとで、VenusがCupidoにPoliaを射抜くよう命じ、最後に彼女が彼との恋に陥る場面である。全体を通して、愛、夢、美についての形而下、形而上相互に関わる物語である。
この本のタイトル"Hypnerotomachia"はギリシア語の睡眠hypnos、愛eros、闘争macheの3つの語から合成され、物語の主役Poliphiloの眠りは小説全体を構成する愛の夢のための場である。闘争はPolifilo自身の情動的、内的葛藤すなわちPoliaの愛を獲得するための彼の命がけの努力を示している。Poliphiliという名前はギリシア語のpoli(多様な、多くの)とphili(愛)との合成語であり、poli/philiは直接的には恋人Polia(多様性、多面性)を愛する人という意味である。Polifilo自身も認めているように(p272)多くの他の物事に対する愛情でもある。彼は建築や庭園を賛美し、古い墓地を散策し、碑銘を読むことを愛し、彫刻、レリーフ、鉄細工などをめで、ニンフたちによって織られた豪華で色彩豊かな織物へ情熱を燃やし、意識を覚醒させるスペクタクルや音楽を愛する。彼の愛の夢は彼を性が原罪に連合していない異教の多神教の世界へと導く。Polifiloの苦悩の理由は彼の守護神がCupidoとVenereであり、彼の恋人Poliaは月の女神Dianaの敬虔な信奉者であることである。Poliaが彼と同じ女神を信奉することによって、彼の戦いは勝利におわり、夢は純粋な喜びとなる。
今後の課題として、魂animaの浄化catarsiと美の問題、教化paideiaの問題、キリスト教と異端との関連性(ギリシア神話、ローマ神話)、図像の解釈、用語の解釈、哲学上の解釈、建築に関する記述の解釈等があげられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 松本静夫: "物語形式の建築書「Polifiloの愛の夢」(1499)に関する覚書"日本建築学会大会学術講演梗概集. F-2. 519-520 (2003)

  • [文献書誌] 松本静夫: "物語形式の建築書「ポリフィーロの夢」(1499)の思想的背景について"日本建築学会中国支部研究報告集. 第27巻. 989-992 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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