本研究は、ドイツにおける建築およびデザインの近代化とその普及に尽力したドイツ工作連盟について、年次報告書、議事録、機関誌及び展覧会などの記録資料を通じて、その活動全般に関するデータベースを構築し、そのことによりドイツ工作連盟の活動理念をあらためて解明することを目的としている。平成15〜16年度にわたる二年間を研究期間とし、平成15年度はおもに、関連資料の現地調査、収集作業をおこなった。 ドイツ工作連盟に関する一次資料は、おもにベルリンのドイツ工作連盟資料館(Werkbundarchiv)に保管されており、平成15年8月4〜18日、および平成15年10月24日〜11月5日の二回にわたり現地調査を実施した。当初の研究計画では、平成15年度は一回のみの渡航調査を予定していたが、資料館の所蔵資料が予想を越えた量に及び、さらに追加調査をおこなった。 関連資料の収集作業は、「年次報告書(Jahresbericht)」、「理事会、委員会等の議事録」、「ドイツ工作連盟の活動報告(Mitteilungen der DWB)』、ドイツ工作連盟の機関誌『フォルム(Die Form)』(1922年創刊)などの媒体を中心に、展覧会カタログや、ドイツ工作連盟が出版母体となった刊行物一般を対象とした。今後、各資料・機関誌等に記載された活動内容、掲載論文、展覧会の企画内容等に関する読解作業を進め、ドイツ工作連盟についての従来の研究を補完、また推進し得るデータベースの構築に取り掛かる予定である。そして、最終的に、ドイツ工作連盟の措定した近代建築・モダンデザイン像の解析・検証につなげていきたい。 なお、関連資料の収集状況はいまだ完全とはいえず、平成16年度においてもさらなる追加調査(現地調査)が必要になる見込みである。
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