研究課題/領域番号 |
15560571
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
喜多 英治 筑波大学, 物理工学系, 教授 (80134203)
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研究分担者 |
大嶋 建一 筑波大学, 物理工学系, 教授 (70109271)
柳原 英人 筑波大学, 物理工学系, 講師 (50302386)
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キーワード | 磁気多層膜 / エピタキシャル成長 / 垂直磁気異方性 / 磁気層間結合 / 磁歪 |
研究概要 |
本年度は強い磁気層間結合を持つCo/Rh系多層膜作製を行い、その磁気異方性を中心に調べた。この系では格子定数の差が7%程度あり、エピタキシャル成長させた磁性膜では磁性層内の歪みが寄与した磁気異方性の出現が期待できる。 まず作製中の格子定数の変化をとらえるために反射高速電子線回折(RHEED)の整備を行った。電子線源やスクリーン等はすでに装置に配備されているが基板ヒーターを商用交流周波数で加熱していたため、電子線が加熱電源の電流が作る磁場により回折像が影響を受けて明確な像を得られなかった。このため電源を直流化する基板加熱制御系改良を実施し、交流磁場の影響を小さくした。この結果、Co層の基板垂直方向の格子定数の変化をより精度良く求めることができた。 次ぎに(111)面に成長させた多層膜についてRh層厚を変化させ磁気異方性の情報を詳細に得た。まずCo層厚を7Å付近に設定しRh層厚をくさび状に変化させた試料を作り、磁化曲線から層間結合を調べた。その結果、7Åと18Åに反強磁性結合の極大を観測し、加えて磁化容易軸が基板に垂直方向となる正の垂直磁気異方性を確認した。そこで強磁性結合を示すRh膜厚を選び、Co層厚を変化させたくさび状膜を作製した。磁気異方性の大きさを求めて界面部分と体積部分の寄与に分離した。この結果、Co層厚が薄い場合、体積寄与と界面寄与には単純に分離することが不可能だった。RHEED観測から求めた結晶歪みによる誘導磁気異方性を取り入れたところ、磁気異方性の振る舞いをバルクの物理定数を用いて調節パラメーター無しに説明することができた。結果を順次公表中である。
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