直流スパッタ法を用いて、Co-Ti-N薄膜を作製し、その後真空熱処理して、垂直異方性を持つCo-TiNナノコンポジット薄膜を作製した。透過型電子顕微鏡および走査ローレンツ顕微鏡で薄膜の断面組織と磁気構造観察した結果、基板面と垂直の繊維組織、Co粒子は繊維の中で数珠状になっていることが明らかにわかった。また磁気構造に関して、垂直成分が支配的になっていることもわかった。さらに本年度はCo-TiNナノコンポジット薄膜の組織形成における酸素に役割、スパッタ圧力の影響について調べました。その結果、スパッタ作製したままのCo-Ti-N薄膜はコラム状組織になっていて、このような膜を大気に晒されると酸素が表面に吸着し、表面拡散によって、コラム間の界面に侵入する。その後の熱処理過程でコラム界面にTiの酸窒物が形成される。このTiの酸窒物殻がCo粒子の横方向の成長を抑制し、結果的に繊維状組織が形成される。この解釈はさらにスパッタ後同一真空中酸素雰囲気熱処理によって再現され、確認された。よって酸素は繊維状組織の形成に重要な役割を果たしている。また窒素とアルゴンの比を固定し、スパッタ圧力変化させ、その影響について調べた結果、圧力が低すぎる場合、窒素の絶対量が足りなくて、CoとTiの金属間化合物形成され磁気性質が著しく損害される。またスパッタ圧力が高すぎる場合、Tiだけではなくて、Coも窒化され、また組織も疎になり、垂直異方性が得られなかった。よって垂直磁化膜作製するに最適なスパッタ圧力が存在する。その最適スパッタ圧力は本実験では5Paである。
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