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2005 年度 実績報告書

合金超微粒子におけるマルテンサイト変態の結晶学的及び熱力学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15560574
研究機関大阪府立大学

研究代表者

唯木 次男  大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (90029885)

キーワードマルテンサイト変態 / 合金ナノ粒子 / サイズ効果 / 結晶構造 / 透過電子顕微鏡観察 / 電子回折
研究概要

本年度はS.Sunらが提唱した有機合成法で用いられた,合成中に有毒なCOガスが発生するFe(CO)_5に換えて,Fe(acac)_3を用いてFe-Pt合金微粒子の作製を試みた。Ptの原材料は昨年度と同様のPt(acac)_2である。粒子サイズを系統的に変える目的で,これらの金属錯体の合計量に対する還元剤と表面修飾剤のモル比を変えて,配合組成Fe-x at.%Pt(x【less than or equal】25)のナノメータサイズ合金微粒子を作製した。合成試料の室温における構造,加熱時の相変化,加熱後の室温における構造を通常の透過電子顕微鏡(CTEM)および高分解能透過電顕(HRTEM)観察ならびに電子回折により調べた。得られた主な知見は以下の通りである。
1.配合組成がFe-10および25at.%Pt近傍の合成したままの試料は粒径がそれぞれ約11および3nmの粒状生成物からなっていた。しかし,その生成物は昨年の結果と同様に,ほとんど純白金に近いPt-richγ相Pt-Fe合金とマグネタイトFe_3O_4の混合であった。マグネタイトの相対量はFe(acac)_3の配合モル比が大きい試料ほど大であった。
2.電顕内加熱によりFe_3O_4が消失するに伴い,Pt-richγ相Pt-Fe合金微粒子が配合組成に近いFe-richαあるいはγ相合金微粒子に相変化する過程は昨年のFe(CO)_5を用いた試料と同様であった。この加熱処理後の室温における生成相は配合組成Fe-10at.%Ptの試料ではα+γ相,また,Fe-25at.%Ptの試料ではγ相単相であった。これらの微粒子の平均粒径はそれぞれ約14,5nmに増大した。
3.加熱処理後のFe-10および25at.%Pt試料における合金ナノ粒子の平均組成はαおよびγ相の格子定数の測定値およびEDXによる薄膜定量分析の結果からほぼ配合通りとみなすことができた。
4.すると,γ相Fe-10at.%Pt合金ナノ粒子のM_s温度はバルクと比べて500K以上低下していることになり,昨年の結果同様,ナノ粒子におけるγ相の異常な安定化が確認された。
5.HRTEMによる格子縞観察の結果は上記の結果を支持するものであった。
6.一方,γ相Fe-25at.%Pt合金ナノ粒子をバルクのA1→L1_2相転移温度(T_c=1108K)以下の773Kおよび573Kでそれぞれ1時間,電顕内で保持したが,L1_2規則構造は観察されなかった。この結果は以前に著者らが報告したCu-Au合金ナノ粒子についての結果と同様に,サイズ効果によるT_cの低下を示唆する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Stabilization of the γ Phase in Nanoparticles of Fe-Pt Alloys with Low Pt Contents Prepared by Chemical Synthesis Method2006

    • 著者名/発表者名
      T.Tadaki 他3名
    • 雑誌名

      Mater.Sci.& Eng.A (in press)

  • [雑誌論文] Colorimetric Detection of Fluoride Ion in an Aqueous Solution Using a Thioglucose-capped Gold Nanoparticle2005

    • 著者名/発表者名
      S.Watanabe 他5名
    • 雑誌名

      Tetrahedron Letters 46/51

      ページ: 8827-8829

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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