研究概要 |
本年度はCoFe_<1-x>Al_x(0.1【less than or equal】x【less than or equal】0.9)合金のB2相およびホイスラー(L2_1)相における点欠陥と磁性挙動との相関を密度・X線回折・電気抵抗・SQUID磁性測定に基づき調べた。 まず本系の1000℃までの相図を求めた。その結果、B2相は全組成域で広く存在し、ホイスラー相は0.4【less than or equal】x【less than or equal】0.6の組成域でおよそ,700℃以下で安定に形成される事、また空孔濃度は極めて低く主要な点欠陥は不正原子である事、が分かった。次にB2相域での磁性挙動については、平均磁気モーメントが組成xの増加と共に直線的減少を示す事、および急冷温度の増加に伴い減少する(x<0.4)または一定となる(x【greater than or equal】0.4)事が分かった。一方ホイスラー相では、いずれの組成でも顕著な急冷温度依存性は認められずB2相とほぼ同じ値となった。 B2相域での急冷温度に伴う磁性の変化は、前年度とりあげたB2Co_<1-c>Fe_c合金における磁性挙動と良く似ており、x<0.4では昇温に伴いCoサイトとFe(Al)サイト間での原子配列の不規則化が起る事により磁気モーメントが減少すると理解される。また組成依存性については、2002年ハーフメタルホイスラー合金の磁性に関し第1原理計算に基づき提唱されたモデル(Slater-Pauling曲線)で良く再現できる事を示した。更に、ホイスラー相での磁性挙動の実験結果は、FeサイトとAlサイト間での不規則化が磁性に影響を与えない事を示唆しており、最近の理論的研究を支持するものとなった。
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