研究課題
基盤研究(C)
金属アモルファス合金は、構造の緩和現象を必ずともなう。熱処理による緩和の物理変化は基本的性質の1つであるが、その追跡測定の困難さから、多くの重要な現象が見のがされてきた。特に、Tb-Fe系アモルファス合金の諸特性は緩和過程と密接に関連しているので、構造緩和とひずみ緩和の両面からの長い時間の追跡が重要である。本研究は、長時間追跡の効率化のために、物理実験と計算機実験を融合させた。2つの手法から、原子拡散に関する考察を中心に長時間緩和に関する知見、特に熱的な安定性の物理を得ることを目的とした。結果として、主眼を歪と構造緩和の2つに置き、比較的短時間で変化を示す歪と、比較的長時間で変化を示す構造緩和の時間因子とそのメカニズムについて考察した。試料作製におけるサブストレートの熱膨張と試料の熱膨張の差から誘起されるひずみ量の変化の追跡が、熱分析装置の精密使用によって明らかとなった。試料の熱膨張が室温から約200℃の高温領域まで殆ど膨張しない、即ちインバー特性であり、一方、サブストレートに関する熱膨張は通常の有限な膨張係数であることがわかった。さらに、構造緩和の計算機レベルの考察を行うために、材料中の構造緩和に最適な計算処理のひとつの実験方法を実現し、鉄原子の拡散係数の計算結果、および拡散係数の温度依存性、さらにはその活性化エネルギーの考察を実施した。歪の緩和過程に類する拡散挙動では、従来の体拡散係数の活性化エネルギーよりも2桁程度小さい値が得られ、これらは、表面拡散のそれよりもさらに1桁程度小さい値であることもわかった。だだし、この部分の詳細な検討は、更なる課題と考えられる。
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すべて 雑誌論文 (4件)
金属 Vol.74,No.9
ページ: 895-899
KINZOKU Vol.74, No.9
Materials Transactions Vol.44 No.12
ページ: 2605-2610
Materials Transactions Vol.44, No.12