ナノコンポジット合金の元素添加、熱処理に伴うナノ組織構造、元素分布、結晶粒の分布状態の変化と、機械的特性、磁気的特性との機能性変化の関係を明らかにするため、以下の試料について、透過型電子顕微鏡、アトムプローブによるナノ組織解析を行った。 (1)単ロール液体急冷法によって作製されたNd-Fe-B系合金の硬磁気特性とナノ組織 ボンド磁石として注目されている低Nd-高B組成のNd-Fe-B系ナノコンポジット磁石に、Ti、Cを添加することにより、最大エネルギー積(BH)_<max>が向上する新しいタイプの合金が開発されているが、そのナノ組織については詳細な解析が行われていない、本研究では、3次元アトムプローブ、及び、透過型電子顕微鏡によるナノ組織の解析を行い、B、C、Tiが高濃度で存在する粒界相の形成を明らかにした。 (2)高強度、高加工性を有する鉄鋼材料のナノ組織 フェライト相中にナノ析出物を高密度分散させ、引張強度780MPa級を実現した析出強化型熱延鋼板が開発され注目されているが、このナノ析出物の定量的な解析は行われていない。本研究では0.04C-1.5Mn(mass%)を基本成分とし、Ti、Moを添加した本鋼で、巻き取り温度を変えて熱間圧延した試料について、3次元アトムプローブによるナノ析出物の組織解析を行い、巻き取り温度の上昇に伴うナノ析出物のサイズ増加、析出物の軽元素を含む元素の分配状況が明らかになった。また、組成の定量解析等から新たな知見が得られた。
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