研究概要 |
ナノコンポジット合金の元素添加、熱処理に伴うナノ組織構造、元素分布、結晶粒の分布状態の変化と、機械的特性、磁気的特性との機能性変化の関係を明らかにするため、以下の試料について、透過型電子顕微鏡、アトムプローブによるナノ組織解析を行った。 (1)ナノコンポジットFe_<35>Pt_<35>P_<30>合金の硬磁気特性とナノ組織 液体急冷法によって作製された、3元共晶近傍の組成を有するFe_<35>Pt_<35>P_<30>リボンは、熱処理後20kOeを超える高保磁力を示した。透過型電子顕微鏡によるナノ組織解析の結果、本合金の急冷後の試料は、粒径約20nmのFePtとPtP_2で構成され、それぞれPとFeが過飽和に固溶していた。また、熱処理によりL1_0規則構造のFePtとPtP_2に変化し、高磁気異方性を有するFePtと、磁壁のピニングサイトとして作用するPtP_2がナノコンポジット構造を形成することで、高保磁力が達成されたことが明らかになった。 (2)液体急冷Sm(Co_<0.74>Fe_<0.1>Cu_<0.12>Zr_<0.04>B_<0.015>)_<7.4>合金中の硬磁気特性とナノ組織 高いキュリー温度を有することから、高温域での応用が注目されている高温液体急冷Sm(Co_<0.74>Fe_<0.1>Cu_<0.12>Zr_<0.04>B_<0.015>)_<7.4>合金中のナノ結晶構造の形成と磁気特性への影響について、X線回折、透過型電子顕微鏡、3次元アトムプローブを用いて解析を行った。急冷速度の増加に伴い、保磁力の増加が確認された。構造解析の結果、急冷速度の増加に伴い、主相であるSm(Co, Fe, Cu, Zr)、の結晶粒の微細化とTh_2Ni_<17>型からTbCu_7型への構造相変態が確認された。熱処理試料の3次元アトムプローブ解析から、微細なボロンリッチ相(Co-Zr-B)が確認され、磁気特性との関連が示唆された。
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