ナノコンポジット合金の元素添加、熱処理に伴うナノ組織構造、元素分布、結晶粒の分布状態の変化と、機械的特性、磁気的特性との機能性変化の関係を明らかにするため、以下の試料について、透過型電子顕微鏡、アトムプローブによるナノ組織解析を行った。 1.Nd-Fe-B系ナノコンポジット磁石の硬磁気特性とナノ組織 液体急冷法により作製したNd(-Pr-Zr)-Fe-B(-Ti-C)合金の急冷リボン材についての硬磁気特性について研究を行った結果、磁気特性は合金の急冷速度及び熱処理条件に大変敏感であり、添加元素効果についてはTiが軟磁性相のNd_2Fe_<23>B_3相を抑制し、硬磁性相のNd_2Fe_<14>Bを優先的に析出させ、さらに結晶粒が微細化する効果があることを明らかにした。Ti及びcを同時添加することでさらに組織が微細化することを示し、Cは硬磁性相であるNd_2Fe_<14>Bに固溶すると共にTiをNd_2Fe_<14>B中から結晶粒界相に排出する効果があることを示した。これにより残留磁化Mr及び飽和磁化Msが増加して優れた硬磁気特性が得られることが明らかになった。 2.Mg合金の熱時効効果とナノ組織 Mgに微量元素を添加した合金は、熱時効により機械的特性が大きく向上する。これは、析出、粒界偏析等によるナノコンポジット化が原因であると考えられる。そこで、そのナノ組織と機械的特性の変化の関連について明らかにするため、TEM及び3DAPによる解析を行い、析出物の成長に伴う構造、元素分布の変化を明らかにし、機械的特性変化との関連について考察を行った。
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