研究概要 |
酸化セリウム固溶体(ネオジム、ガドリニウム、あるいはイットリウム添加酸化セリウム)に関して、(1)その薄膜の作製法、(2)ナノレベルの欠陥構造の組成依存性や(3)加熱時間依存性を調べた。(1)薄膜作製法としては均一沈殿法を用いたフロー式反応装置法と化学浴槽浸漬法、また、酸化物粉体を用いた水熱法を確立した。膜厚を薄く維持したい時はフロー式反応装置法や化学浴槽浸漬法が適しており、膜厚を厚くしたい時は水熱法が適していた。(2)1500℃で焼成後急冷した酸化セリウム固溶体をX線回折法で調べると、約0〜40mol%NdO_<1.5>(あるいはGdO_<1.5>,YO_<1.5>)添加CeO_2は蛍石型構造で、約45mol%以上NdO_<1.5>(あるいはGdO_<1.5>,YO_<1.5>)添加CeO_2では蛍石型構造にサテライトピークが追加された形で、希土類C型構造と区別がっかなかったが、添加物による差はなかった。しかし、ラマン分光結果は添加物間に差があった。Nd-CeO_2ではCeとOの結合に由来するラマンバンドに組成依存性はなく、Nd添加による影響を受けていないが、Gd-CeO_2では0〜30mol%GdO_<1.5>添加CeO_2のCeとOの結合と40〜70mol%GdO_<1.5>添加CeO_2のCeとOの結合に違いがあり、Y-CeO_2では40〜70mol%YO_<1.5>添加CeO_2のCeとOの結合に由来するラマンバンドは少しずつ変化した。つまり、Ndを添加したCeO_2が蛍石型構造を強く維持していた。(3)20または60mol%NaO_<1.5>,GdO_1.5またはYO_<1.5>添加CeO_2を900℃と1400℃で最大336日まで加熱し、構造変化の有無をX線回折とラマン分光で調べた。その結果、Nd-CeO_2とGd-CeO_2は900℃と1400℃の両方において蛍石型構造を長期問維持し、安定であること、60mol%YO_<1.5>添加CeO_2は長期間焼成すると蛍石型構造から格子定数の異なる希土類C型構造へ変化することが明らかとなった。このY-CeO_2については短時間で格子定数の異なる希土類C型構造になると文献では報告されており、本結果とは異なっている。この違いは試料の作製法を源とした試料の純度が原因と考えられた。つまり、構造変化が純度に依存することを見出した。
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