研究課題/領域番号 |
15560593
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
打越 哲郎 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主幹研究員 (90354216)
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研究分担者 |
鈴木 達 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主幹研究員 (50267407)
目 義雄 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, ディレクター (00354217)
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キーワード | 電気泳動堆積法 / 水系溶媒 / アルミナ / ジルコニア / 積層コンポジット |
研究概要 |
前年度の研究では、電気泳動堆積法により同一電極基板上へジルコニア及びアルミナ粒子を交互に堆積させ、その積層堆積体を大気中で焼成することで、層間密着性の良いジルコニア/アルミナ積層コンポジットが得られることを示した。また、各層ごとに通電時間を変化させて、層厚の異なる数種類の積層コンポジットセラミックスを作製した。本年度は、これらの積層コンポジットの組織や機械、機能特性について総合的な評価を行なった。ジルコニア/アルミナの積層界面では、焼結後の冷却過程で生じる両者の収縮率の差から、ジルコニアに引張り応力、アルミナに圧縮応力が作用する。作用する応力が大き過ぎるとき、焼成後のジルコニア層には収縮クラックによる大きな欠陥が導入される。しかし、層厚を調節し作用する応力を変化させると、大きな割れは生じさせずに残留応力の閉じ込められた積層コンポジットを作製することができた。これらの試料については、残留応力と靱性値、伝導度の層間について評価を行なった。また、本水系EPDプロセスでは、溶媒の電気分解により生じるガスを基板金属で吸収することにより気泡発生を防止するが、水素吸収材として用いた陰極パラジウム基板が、長時間の通電に伴う多量の水素吸収により大きく膨張し、堆積体が特に熱いバルク体ではマクロな割れが生じる現象も確認された。このことから、水系プロセスは比較的薄い膜の作製に有効であるが、特に厚いバルク体では注意が必要である。厚いバルク体の作製に最適なサスペンションについても検討した結果、エタノール-リン酸エステル系で水系に匹敵する高密度成形体が作製できることも見出した。
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