研究概要 |
金属間化合物繊維強化複合材料の新規作製方法として,研究代表者らは細孔反応法(reaction at narrow holes method)を提案している.この手法の概要は以下である.金属母相A中に細孔をあけ,母相と比較して融点の低い金属繊維Bを挿入する.この状態で,金属繊維Bの融点以上へ急速加熱を行い,金属母相Aと溶融金属Bとを反応させる.これにより,試料中ではmA+nB→A_mB_nの反応が生じる.反応中,繊維形状を保ったまま金属間化合物A_mB_nが形成するため,金属間化合物繊維強化複合材料の製造が可能となる. 本年度は,金属母相としてニッケルを,金属繊維としてアルミニウムを用い,繊維形状のニッケルアルミナイド金属間化合物を母相内に形成させた.得られた材料の繊維/母相界面の組織をSEM-EPMAにより詳細に調査した.また,繊維/母相間におけるマイクロビッカース硬さを詳細に調査し,その組織傾斜について議論した. 得られた結果は以下である.1)細孔反応法を用いることで,ニッケル母相中に繊維形状を保ったままニッケルアルミナイド金属間化合物が形成し,ニッケルアルミナイド金属間化合物繊維強化ニッケル基複合材料が作製できることがわかった.2)繊維中心部と界面部とでは異なるニッケルアルミナイド金属間化合物が形成しており,繊維は芯さや構造を有していた.3)ニッケルアルミナイド繊維において硬さの位置依存性が認められた.4)1200℃で製造した試料においては,傾斜的な硬さ分布となっていた.
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