研究課題
基盤研究(C)
研究代表者らはこれまでに、MgFe_2O_4が交流磁場下において、他のフェライトと比べて著しく高い温度上昇を示すことを発見した。このフェライト粉末を癌の病巣部に堆積させ、交流磁場をかけて60〜70℃まで発熱・加熱壊死させることが可能となる。本研究は、材料工学的な立場から果たすことのできる研究の範囲内で、上記癌治療法に用いるフェライト微粒子の作製と、得られた粉末材料の基礎的物性・磁気的性質・加温特性・表面構造などを明らかにするものである。本研究では、主に共沈法を用いて様々な粒径のフェライト粉末を作製し、その磁気的性質及び発熱特性などを検討した。まず、これまでMgFe_2O_4が他のフェライトよりも発熱する理由が明らかではなかったが、高い磁場下において、ヒステレシス損が最も大きいことが確認され、これによりフェライトの発熱が起こることがわかった。そして、微粒子化の方法として、化学的な共沈法について検討を行った。その結果、その粒子径による磁場中の発熱特性へ与える影響が著しく、その作製条件を選択する必要があることがわかった。この発熱特性は、フェライトの種類によってもかなり異なっており、FeFe_2O_4は粒子径が数十ナノでも発熱するが、Mgフェライトでは粒子径がきわめて小さいものについてはほとんど発熱しなかった。さらに、このMgフェライトにイオン半径の大きいCa^<2+>を置換したMg_<1-x>Ca_xFe_2O_4系について検討を行ない、Mgフェライトよりさらに発熱特性の高い材料であることを発見した。この発熱機構はさらに検討する必要があるが、微粒子化とCa置換による相転移温度が関係していると考えられる。このMg_<1-x>Ca_xFe_2O_4系は癌治療の材料として大いに期待できる。
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工学ジャーナル 第3巻
ページ: 59-64
J.Magn.Magn.Mater. 272-276
ページ: 2428-2429
Annual Journal of Engineering Ehime Uni. Vol.3
J.Mater.Sci (印刷中)