研究概要 |
1)ポリマー・マトリックスの合成及びそれらの酵素分解について: 新規な生分解性高分子として、ポリ乳酸との共重合体であるポリカーボネート共重合体、ボリカプロラクトン共重合体及びポリ乳酸-ポリヘキシルアジペート共重合体を合成し、高分子の偏光特性、熱特性等と酵素による分解速度の関係を検討した。さらに、PLLAとPCLとの共重合体の合成を行うと、L-LA含量が34%と49%以外の共重合体は融点・ガラス転移温度を有する結晶性のランダム共重合体であり、その酵素分解性を比較すると,ブレンド体>ランダム共重合体の順に分解速度が低くなった。 2)酵素誘導物質を含むポリマー・マトリックスの酵素分解について: 種々の生分解性高分子に酵素活性を増大させる誘導物質として、種々の高級飽和あるいは不飽和アルコールや脂肪酸を各種濃度で添加した試料を作成し、我々の見い出した微生物や市販酵素による生分解試験を行い、評価し、各々の生分解性高分子の組成に適した酵素誘導物質を見出した。さらに、分解生成物である安息香酸を選択的に分解する微生物も単離することができた。 3)センサ特性について: TPPH_2誘導体の置換基がR:-OC_4H_9>-CH_3>-H>-t-C_4H_9の順にppm-レベルのHCl gasに対する感度が低下し、最も高いセンサ感度を想定した置換基-OC_4H_9を2つフェニル基へ導入したTPPH_2、誘導体を合成し、sub-ppmレベルのHClガスに対する感度を測定すると、フェニル基の4-OC_4H_9>3,4-Di-OC_4H_9>>2,5-Di-OC_4H_9の順にセンサ感度が低下し、予測した電子供与性置換基を2つ導入することによる電子効果が再現されなかった。一方、センサ素子材の酵素による分解速度は、TPPH_2誘導体の置換基がR:-OH>-H>-CH_3>-OC_4H_9>-t-C_4H_9の順に分解速度が抑制された。
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