研究課題
基盤研究(C)
本研究は、気体プラズマに放射性同位元素(RI)を混入した場合や、外部から高エネルギー放射線粒子(β線、γ線)が入射した場合のプラズマ状態と電極・成膜壁の表面状態の変化に関し、実験と計算機シミュレーションの両者による解析を目的として開始された。成果の応用例としては、(1)医療用放射線同位元素を含むガスの排気処理におけるプラズマ定着、(2)プラズマCVD法等によってなされる固体表面堆積膜の放射線検出器への応用、が挙げられる。実験とシミュレーション解析における焦点は、(1)RIプラズマ生成を目的とするチャンバの作成とプラズマ観測、(2)トライオード電極を利用したプラズマCVD法による堆積膜の物性評価、(3)プラズマ中の電子と放射線粒子の挙動解析、(4)プラズマCVD法などによる絶縁基板上堆積膜のシミュレーション評価、である。トライオード電極を配置したプラズマ生成用チャンバを構築する一方、既存のチャンバにて行った堆積膜や固体表面への放射線照射実験にて興味深い結果が得られ、それらに対応したシミュレーションへ重点が移行した。また、RIプラズマでの解析に用いる弱電離プラズマ電子のモンテカルロシミュレーション用データを整備し、高エネルギー光子・電子が入射した場合の解析に応えることのできるコードを独自に開発した。以下に、具体的な項目と得られた成果を列挙する。1.セラミクスやプラスチックの絶縁基板上にプラズマCVDによってTiO_2薄膜を堆積したものが、放射線照射によって導電性を帯びる現象が確認されると共に、放射線検出器として良好な特性を示すことが明らかとなった。2.放射線粒子の汎用シミュレーションコード(EGS4)により、上記の基板と薄膜の層構造における光子と電子のエネルギー付与を計算した。また固体のバンド構造を含めた検討から、薄膜の導電性機構に関するモデルを提案した。3.プラズマ実験で実際に使用する予定のXeガス、ならびに空気中の水分や生体等価組織を念頭においた水分子の電子衝突断面積のセットを完成し、1eV〜10keV程度のエネルギー範囲における電子線シミュレーションを可能とするモンテカルロコードを独自に開発した。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (18件)
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