研究概要 |
ナノ粒子分散Al合金を創製するには、(1)非晶質相やガラス相になるAl合金を低い冷却速度で凝固する、(2)非晶質およびガラスAl合金を低温で時効する、および(3)高Al濃度域のAl合金を急速凝固する3通りの方法がある。本年度は、最高強度を持つ非晶質およびガラスAl合金の開発を行い、その結晶化過程を明らかにすることを目的とした。得られた結果は下記の通りである。 (1)(Al-Ni-Ce)_<100-x>M_x(x=0〜15at%)合金および(Al-Ni-Y-Co)_<100-x>M_x合金への半金属元素(M : B, Si, P)添加で最も効果的な元素は、構成元素との原子径差が著しく大きいBであった。1140MPaの引張破断強度を示す(Al_<0.84>Ni_<0.10>Ce_<0.06>)_<94>B_6合金の結晶化過程は、glass→glass+fcc-Al+metastable phase→fcc-Al+Al_3Ni+Al_4Ceの2段階で起きた。 (2)1140MPaの引張破断強度を示す(Al_<0.84>Ni_<0.05>Y_<0.09>Co_<0.02>)_<100-x>B_x(x=1.5〜2at%)の結晶化過程は、glass→glass+fcc-A1→glass+fcc-Al+unknown metastable phase→fcc-Al+Al_9Co_2+Al_3Y+Al_4NiY+Al-Y-Ni-Co quaternary compoundの3段階で起きた。 (3)Al_<87>Ni_<10>Sc_3およびAl_<86>Ni_<10>Sc_4合金では、単ロール型液体急冷装置の銅ロール周速が9m/sの低い冷却速度においても良好な延性を持つ非晶質+fcc-Alの複相組織が生成した。ナノAl粒子分散Al_<86>Ni_<10>Sc_4合金の引張破断強度は1150MPaであった。
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