研究概要 |
研究目的は、申請者らが見出した準結晶粒子分散Al-Fe-Cr-Ti合金に、微量の添加元素(M : Co、Ni)を加え単ロール液体急冷法で急速凝固したAl-Fe-Cr-Ti-M合金を作製し、準結晶粒子の微細化を図ると共に、これらの機械的性質を調べ、その強化機構を解明することである。 研究期間中に見出した結果の一部を下記に示します。 1)銅ロール周速40m/sで液体急冷した(Al_<0.93>Fe_<0.03>Cr_<0.02>Ti_<0.02>)_<100-x>M_x(M:遷移金属)合金は、M=Co、Niの場合にアモルファス形成能が拡大した。 2)銅ロール周速10m/sで液体急冷したAl-Fe-Cr-Ti-Co合金は、fcc-Al相中に約50nmの準結晶粒子が均一に分散している組織を持っていた。 3)準結晶分散Al-Fe-Cr-Ti系合金に対し、過冷却状態を安定化させるCoを添加し、準結晶形成を支配するFe, Cr量を最適化することで、より微細な準結晶粒子分散組織が得られた。 4)準結晶粒子分散Al-Fe-Cr-Ti-Co合金押出し材は、573Kで365MPa、673Kで208MPaの高耐熱強度を示した。 5)準結晶粒子分散Al-Fe-Cr-Ti-Co合金は、300℃×200時間保持後でも構造、機械的特性に変化は無く優れた耐熱性を示した。 6)準結晶粒子分散Al-Fe-Cr-Ti-Co合金は、573Kにて圧縮塑性加工が出来た。 7)ナノ粒子分散Al合金における強化は、転位運動に関するOrowan-Martinのメカニズム(precipitation hardening)で理解ができた。
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