研究概要 |
本課題は粒径の揃った機能性金属マイクロ粒子を配列するうえ、回路に放電を行うことによって瞬間焼結の実現および配列焼結体の機能開発を目指す研究である。今年度では,平均粒径500μmの球形熱電変換マイクロ粒子を使用し,配列方法および放電焼結装置の開発を行った。また,放電焼結した配列体の特性評価法について検討した。 放電焼結の条件を明らかにするために,放電時の印加電圧,電流と放電量を測定し,放電焼結後の粒子全体およびネック部の粗織を評価した。また,放電時の環境雰囲気(大気中とAr雰囲気)による焼結体の外観および内部組織への影響についても考察した。熱電マイクロ粒子配列焼結体の比抵抗、キャリア濃度、移動度および室温でのゼーベック係数の評価方法について検討を行った。これまで明らかにしたこととしては,直径500μmの球形マイクロ熱電粒子の放電接合に必要な時間は僅か数マイクロ秒の一瞬であることが分った。焼結時間は非常に短いため,接合部の組織の粗大化が抑制され,ネック部で微細な組織を得ることができた。さらに,焼結時の雰囲気は接合状態への影響を与えることがないことを確認した。焼結時における放電電圧の印加時間は極短いため,環境雰囲気による表面酸化はほとんどなく,熱電特性への影響も認められなかった。配列焼結体の比抵抗が熱電インゴットより若干高い値を示したが,キャリア濃度,ホール係数,移動度は試料作製条件にかかわらずインゴットの値とほぼ同等の範囲であった。粒子焼結体のゼーベック係数が熱電インゴットより高い値が得られたことを確認した。
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