研究概要 |
本研究は,原料粉末間に生じる自発的反応を利用して,超微細なセラミックス粒子をアルミのマトリックスに均一に分散した高強度アルミ基複合材料の開発を図ったものである.本年度は,反応合成プロセスを最適化することを目的として,原料粉末の粒子サイズや反応焼結温度の違いによる相組成や微視組織の変化及び強化相の形成メカニズムについて重点的に検討した・原料粉末として,アルミ(Al),二酸化チタン(TiO_2),硼素(B)を用いた.三種類の粉末を混合・圧粉後,真空中において一定の温度で反応焼結を施すことによって,20vol%のTiB_2およびAl_2O_3第二相粒子を含むアルミ基複合材料を合成した.得られた結果を要約すると以下のようになる. 1.TiO_2のアルミ溶融による還元は段階的な過程であり,TiO_2より酸素含有量の低い四種類の酸化物(TiO_3O_5,Ti_2O_3,TiO,Ti_2O)に分解することが確認された.その中で,Ti_2O_3は最も重要な過渡的な相であることが分かった. 2.Al-B-TiO_2三元系混合粉末は反応焼結において,強化相としてのα-Al_2O_3及びTiB_2が生成されるまで幾つかのステップを経る.中間相として,AlB_2,γ-Al_2O_3,Al_3Tiおよび上述した酸素含有量の異なるチタン酸化物が存在する. 3.Al_2O_3粒子はテルミット還元反応により生成されたが,TiB_2第二相は主にAlB_2とTi_2O_3の固/固界面反応によるものである. 4.原料粉末のサイズは小さい方が反応が促進され,また,生成される強化粒子のサイズを小さくすることも可能である.
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