トリボ帯電方式静電粉体塗装の高性能化を図るため、電荷制御剤を混入したポリマーシートによる粉体塗料の帯電性の評価を中心に研究を遂行した。 はじめに、電荷制御剤を混入したポリマーシートの粉体塗料に対する電荷付与特性をカスケード法によりしらべた。ポリスチレン、アクリル、ポリフッ化ビニリデン溶液に、電子写真現像剤に使用される正、負の各種電荷制御剤、各種金属酸化物粉末を混入し、キャスト法によりシートを形成し、その上をフェライト粒子、ステンレス粒子を滑落させて、粒子の得る帯電量をファラデーケージにより測定した。その結果、正、負の電荷制御剤は期待通り機能することを確認した。 通常、トリボ帯電式静電スプレーガンの内壁はモールド法で作製されるが、従来の電荷制御剤はこのとき熱分解する可能性があるため、代わりに金属酸化物粉末を使用することを考えて、その電荷制御効果をしらべた。その結果、BaO、MgO、などは相手粒子を負帯電させ、V_2O_5、MoO_3は相手粒子を正帯電させる機能を有することを確認した。 つぎに、各種電荷制御剤、金属酸化物粉末を混入したポリマー製内壁を有するトリボ帯電式静電スプレーガンを試作して、実際の粉体塗料の帯電特性を詳細に調べた。その結果、電子写真現像剤で使用される電荷制御剤は粉体塗料に対しても有効で、正帯電、負帯電に帯電極性を制御できることを確認した。また、各種金属酸化物もかなり電荷制御能力を有することがわかった。トリボ帯電式スプレーガンでは逆電離が発生しにくいことを確認した。
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