研究課題/領域番号 |
15560621
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
大嶋 健司 埼玉大学, 工学部, 教授 (70026087)
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研究分担者 |
金子 裕良 埼玉大学, 工学部, 講師 (10233892)
山根 敏 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10191363)
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キーワード | スイッチバック溶接 / 狭開先溶接 / 溶接条件制御 / CCDカメラ / 裏ビード制御 / フィードフォワード制御 / 溶接ロボット / 電源特性制御 |
研究概要 |
中厚板のGMA多層盛狭開溶接において残留応力を小さくするとともに、高効率溶接を行うためには狭開先が望ましい。本研究では12mm厚の開先角度が24度の母材において一層(ビード高さ)9mmの高品質溶接を対象とした。この目的のために、スイッチバック溶接法を適用する。ギャップ変動に関わらず、良好な溶接結果を得るためには、溶接条件の最適化が重要である。そこで、溶接実験結果から、熱伝導方程式に基づく数値モデルを誘導し、これを用いてファジィモデルを構築する。このモデルにより、ギャップに対する最適な溶接条件を求める。 まず、4mmギャップにおけるスイッチバック溶接法を行う。溶接トーチが10Hzでウィービングを行うとともに、溶接線に沿って20mm前進、15mm後退を繰り返しつつ進行する。これにより、ルートエッジおよび開先表面に適切な入熱が行える。 つぎに、溶接条件を最適化するために、数値モデルを求める。24度のV開先にて12mm厚、長さ175mm、幅100mmの軟鋼板を溶接する場合を考える。溶接トーチを熱源としてモデル化する。溶接における発生熱量は半分がワイヤ溶融に要した熱量とし、残りは母材への入熱と空気中への放熱とした。スイッチバック溶接を行う場合、溶融池表面は傾斜する。数値モデルにおいても、この傾斜を近似するため、2.5mm毎に溶融金属を溶着させる。定常状態におけるビードは7層から形成される。ビード高さを9mmとし、ギャップが4mm、5mm、6mmに対するストロークと溶融池長さの数値シミュレーションを行った。ストロークが長くなるとともに、ストロークに対する溶融池長さは短くなる。最適な溶接条件を求めるために、階層型ファジィ推論を用いて、モデルを構築する。計算結果をファジィモデルにより表すように、メンバーシップ関数を調整した。ギャップが与えられたとき、溶融池のファジィモデルを用いて、後退ストロークと15mmとの平均値に対する溶融池長さの比が1となるようにストロークを求めた。また、数値シミュレーションにて求めた冷却時間も12秒前後であった。ギャップが広がるとともに、ストロークは長くなり、単位時間あたりの入熱量は少なくなった。
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