研究概要 |
中性水溶液(pH5.4〜8)中に含まれる,塩化物イオンおよび硫酸イオンの及ぼす銅のアノード溶解反応への影響を電気化学的に解析した.アノード分極曲線の測定から反応に関するパラメータを決定し,アノード溶解反応機構を提案した.さらに,チャンネルフロー電極法によりアノード溶解で生成した銅イオンの価数を決定した. 淡水中においては,塩化物イオンまたは硫酸イオン濃度に依存して銅のアノード溶解反応は変化した.すなわち、(1)塩化物イオンもしくは硫酸イオンの存在量が微量の濃度範囲,(2)100ppm程度以上の塩化物イオンもしくは硫酸イオンが存在する濃度範囲,である.濃度領範囲(1)におけるアノード分極曲線は各pHに依存していたが,濃度範囲(2)においてはpH依存性が見られなかった.濃度範囲(2)におけるアノード溶解反応機構を次式のように提案した. 塩化物イオン存在下での銅のアノード溶解反応: Cu+Cl^-=CuCl+e^- CuCl+Cl→CuCl_2^- 硫酸イオン存在下での銅のアノード溶解反応: Cu+SO_4^<2->=CuSO_4^-_<ads>+e^- Cu+CuSO_4^-_<ads>+SO_4^<2->→CuSO_4^-_<ads>+Cu(SO_4)_2^<2->+2e^- Cu(SO_4)_2^<2->=Cu^<2+>+2SO_4^<2-> さらに銅のアノード分極曲線対する溶存シリカの影響を検討した.
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