研究課題/領域番号 |
15560631
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研究機関 | 武蔵工業大学 |
研究代表者 |
若林 英彦 武蔵工業大学, 工学部, 助教授 (50267340)
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研究分担者 |
坂本 勲 産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 主任研究員
林 伸行 久留米工業大学, 大学院, 教授 (30318612)
鳥山 保 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (40016176)
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キーワード | イオン注入 / トンネル型磁気抵抗 / 超微粒子 / 金属鉄微粒子 / 超常磁性 / 粒径分布 / アニーリング / 選択的成長 |
研究概要 |
本研究は、α-Al2O3マトリクス中にα-Fe微粒子が分散したグラニュラー型のトンネル磁気抵抗(TMR)材料を、単結晶α-Al2O3基板にFeイオンを注入することによって作製しその作製条件の最適化することを目的とし、本年度は以下の結果を得た。まず、本研究に先立って得られていた予備的な結果である「穏和な条件(300℃以下、1〜2h程度)での真空アニーリング」の効果について、より詳しい実験を行い、極微粒子が中程度の粒子に統合され、その結果粒子間隙が広がってゼロ磁場抵抗が増加すること、並びに150℃以下のアニーリングでは影響が見られないことを確認した。次に、この結果とこれまでに得られていた粒径分布の注入量依存性を考え併せ、これまで一回で行っていたイオン注入を分割し、少量のイオン注入と温和な条件でのアニールを組にしてこれを繰り返すことにより、TMR効果に寄与の大きな中間的な粒径(3-5nm)の粒子を選択的に成長させ、同時に粒子間隙を縮小して充填密度を上げて全抵抗が低くかつ大きなMR比を示すグラニュラーTMR材料を作製する方法を提案した(以下、繰り返しイオン注入法とよぶ)。そして、実際に2段階の繰り返しイオン注入法を実行し、各段階(注入とアニールの組)における試料中の金属鉄微粒子の形成状況を磁場印加CEMS法とゼロ磁場抵抗値測定により評価し、並行して各段階におけるTMR効果の測定を行った。この結果を、同じ最終注入量(1.1E17ions/cm2)を一括注入した試料と比較した結果、期待通りに中程度の粒径(3-5nm)を持つ金属鉄微粒子を選択的に成長させることができ、一括注入で作製した試料の1.4倍のMR比が得られることがわかった。しかしながら、さらに第3段目の注入を行い、総注入量を1.5E17ions/cm2とすると、粒径分布は一家注入で作製した試料とほぼ同じになり、分割注入量や穏和なアニール条件の最適化が必要であることがわかった。
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